Shoji Times

#2026-05-02
20 sources → 14 news printed at 2026/05/04
science

竹の miRNA がパンダを「竹好き」にしている可能性、中国チームが提唱

食物 miRNA が摂食行動を制御する越境的調節が哺乳類で実例化すれば、食性進化の説明枠組みが書き換わる

中国・西華師範大、竹由来の miRNA がパンダの食性を制御する仮説を提唱


何が変わったか

これまでジャイアントパンダ (Ailuropoda melanoleuca) は、分類学的には肉食目 (Carnivora) に属しながら食事のほぼすべてが竹で構成される逆説的な生物として知られてきた。なぜ肉食目の動物が竹を強く嗜好し、低栄養の植物だけで生きられるのかについて、決定打となる説明はなかった。

中国・西華師範大学 (CWNU) のチームによる新研究で、竹由来のマイクロ RNA (miRNA, 約 22 塩基の小型 RNA で、他種の遺伝子発現を調節しうる) がパンダ側の食欲・消化能力を司る遺伝子を直接制御している可能性が提示された。「パンダが竹を選ぶ」のではなく「竹がパンダを竹好きにさせている」という、宿主・食物関係を逆転させる仮説である。

社会にどんな影響があるか

主たる影響として、「食物の miRNA が摂食行動を制御する」という越境的調節メカニズムが哺乳類で実例化されると、食性進化の説明枠組みが書き換わる。ヒトの食欲・代謝が摂取食物の miRNA に影響される可能性も再評価対象に入り、栄養学・進化生物学・腸内細菌研究の交差点に新たな研究軸が生まれる。

一方で副作用として、植物 miRNA が哺乳類体内で機能的な濃度に達するかは過去十数年の論争領域であり、再現性に乏しい先行研究も多い。今回の知見も追試と機構解明が必要であり、過剰な一般化は避ける必要がある。

ニュースの詳細

研究の核心は「竹に含まれる特定の miRNA が経口摂取後にパンダの組織に到達し、宿主側の食欲調節遺伝子や消化酵素遺伝子の翻訳抑制を引き起こす」というモデルである。もし正しければパンダは進化的に竹依存になったのではなく、竹の miRNA に行動レベルで「ハッキング」され続ける形で食性が固定されたことになる。

肉食目の祖先からヒマラヤ系のジャイアントパンダ類が分岐してから数百万年、笹の自生地と分布が一貫して重なってきたことの背景説明として位置付けられている。研究の詳細は学術誌に掲載予定で、植物 miRNA が動物体内で機能するかという長年の議論に新しい証拠を投じる結果になる可能性がある。

source: ナゾロジー