Shoji Times

#2026-05-07
20 sources → 24 news printed at 2026/05/09
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第15回科学の甲子園、岡山県立岡山朝日高校が県立校5年ぶりの優勝、東大寺学園が2位

第15回科学の甲子園、岡山県立岡山朝日高校が県立校5年ぶりの優勝、東大寺学園が2位

中高一貫・併設中学を持つ進学校が圧倒的優位だった大会で、純粋な公立高校・男子チームの優勝が「公立高の理科教育の底力」を可視化する

第 15 回科学の甲子園、岡山県立岡山朝日高校が県立校 5 年ぶりの優勝


何が変わったか

これまで「科学の甲子園」全国大会では、中高一貫校や中学校を併設する進学校が上位を占める傾向が続き、女子生徒の参加率も上昇していた。

第 15 回大会 (2026 年 3 月 20〜23 日、つくば市) では、 岡山県代表の岡山朝日高等学校が優勝した。県立高校の優勝は 5 年ぶり、中学を併設しない高校としては 9 年ぶり。男子のみのチーム構成で、奈良県の東大寺学園が 2 位、大分県立大分上野丘高校が 3 位。全国 47 都道府県代表校から、47 都道府県の予選には 697 校 7,892 人がエントリーした。

社会にどんな影響があるか

主たる影響として、中高一貫校・併設中学保有校に限らない理科教育の競争力が示され、純粋な公立高校教育のポテンシャルが再評価される契機となる。岡山朝日高校チームのキャプテン三浦さんと高山さんの「夢ではないか」というコメントに象徴されるように、組織的な中高連携を持たない学校でも頂点を狙える事例として、地域公立高校の理数教育に対するモチベーションを高める。

副作用として、科学の甲子園のような大会の優勝が偶発的要因 (チームの個性的なメンバー構成、たまたま強い分野の出題傾向) に左右される側面もあり、これを「公立復権」のような大きな物語に短絡する解釈は危うい。引率の関和久先生が「実技競技 3 で 1 位になれたことが嬉しく、最後まで頑張った結果が優勝につながった」と語ったように、個別競技の結果と全体評価の構造を踏まえる必要がある。

ニュースの詳細

第 15 回「科学の甲子園」全国大会 (科学技術振興機構主催、茨城県など共催) は、2026 年 3 月 20〜23 日の 4 日間、つくば市のつくば国際会議場およびつくばカピオで開催された。各都道府県予選には 697 校から 7,892 人がエントリー。47 都道府県代表校が 1・2 年生 6〜8 人のチームで筆記競技と 3 種目の実技競技に挑戦した。

筆記競技 (各チーム 6 人、120 分) では、ペットボトル打楽器を題材に「内部空気圧の変化と音の高さの関係」を扱う第 1 問、理想気体とゴム紐を「熱機関」の共通枠組みで比較する第 2 問、「質量」概念から原子量の歴史・単位定義・測定原理に踏み込む第 3 問が出題され、第 1 位スカパー JSAT 賞は東大寺学園 (奈良県)、第 2 位内田洋行賞はラ・サール高等学校 (鹿児島県)。

実技競技① (海の波の速度の不思議、100 分) では表面波と内部波を観察測定し、ラ・サール高校 (鹿児島県) が 1 位トヨタ賞、久留米大学附設高校 (福岡県) が 2 位。実技競技② (イオン交換エクスプレス、100 分) では硫酸銅濃度測定と白色粉末同定で、石川県立金沢泉丘高校が 1 位 UBE 三菱セメント賞。実技競技③ (目指せ! 電磁力でカップイン、4 人 160 分、事前公開) ではトムソンリング装置でアルミリング射出競技を行い、岡山朝日高校が 1 位の学研賞。総合優勝は岡山朝日高校で、特に実技 3 の 1 位獲得が決定打となった。

キーワード解説

科学の甲子園 とは、科学技術振興機構 (JST) が主催する、高校 1〜2 年生による全国規模の理科・数学・情報の競技大会。各都道府県予選を勝ち抜いた代表チームが筆記・実技で総合点を競う。2011 年開始で、本記事は第 15 回大会。理科離れの是正、理数系人材の発掘・育成を目的としている。

トムソンリング装置 とは、コイルに交流電流を流して磁場を生み、コイルの上にあるアルミニウムリングに渦電流と反発力を発生させる電磁誘導の実験装置。リングが空中に飛ぶ現象から、電磁誘導の原理を視覚的に学ぶ教材として広く使われる。本大会の実技 3 はこれを応用したリング射出競技。

サイエンスオリンピアード とは、科学の甲子園参加経験者から選抜された日本代表が国際大会 (国際科学オリンピアード) に挑戦するためのプログラム。物理・化学・生物・数学・情報・地学の各分野で個別の国際オリンピアードがあり、科学の甲子園は学校横断的なチーム競技として位置付けられる。

source: 大学ジャーナル