Shoji Times

#2026-05-08
20 sources → 30 news printed at 2026/05/09
academia
芝浦工業大学、新入生女子割合 30.8% に到達──国内工業大学で初の 30% 突破

芝浦工業大学、新入生女子割合 30.8% に到達──国内工業大学で初の 30% 突破

理工系における女子学生比率 30% 突破は、入試制度・奨学金・女子校との連携を組み合わせた施策が成果として結実したことを示し、他工業大学の追随を促す

芝浦工業大学、新入生女子割合 30.8% に到達──国内工業大学で初の 30% 突破


何が変わったか

これまで日本の工学系学科の女子学生割合は、文部科学省の令和 7 年度学校基本調査で全国平均 17.9% にとどまっていた。米国の MIT・カリフォルニア工科大などでは女子学生がほぼ半数を占めるのと対照的に、日本の理工系教育は女子比率の低さが構造的な課題とされてきた。

芝浦工業大学は、2026 年 4 月入学の学部入学者 2,045 人のうち女子学生が 629 人 (30.8%) となり、国内の工業大学として初めて 1 学年の女子学生割合が 30% を突破した。学部全体 (1〜4 年) でも女子割合は 26.5%。2018 年度から段階的に拡大してきた「公募制推薦入学者選抜 (女子)」(現「理工系女子特別入学者選抜」) と入学金相当額の奨学金、女子校との高大連携協定 (累計 15 校予定) が組み合わさった成果。

社会にどんな影響があるか

「理系女子」の進路選択を制度的・経済的に支援する施策が、合計 8 年程度の継続で 30% の閾値を超える成果を出すことが実証された。政府の「第 6 次男女共同参画基本計画」(令和 8 年 3 月) で「女子学生・生徒の理工系分野の選択促進」が重要テーマに掲げられたタイミングと重なり、東京理科大・東京工業大 (東京科学大) など他の理工系大学への横展開圧力が高まる。理工系企業の採用市場でも「理工系学んだ女子学生」のニーズが高く、芝浦工業大学の女子学生就職率は 2 年連続 100%。

副作用として、女子枠選抜は男子学生・志願者からの「逆差別」批判を受けやすい。本来は中等教育・初等教育段階での性別による進路ステレオタイプの解消が根本的な対策であり、大学段階での選抜緩和は対症療法という側面もある。

俺にどんな影響があるか

PRES の産学連携サービスでは、女子学生比率が高まる工業大学との接点設計が、企業側の DEI (Diversity, Equity, Inclusion) 採用ニーズと噛み合う。中堅企業向けに「女子理工系人材の獲得を支援する産学連携プログラム」を提案する際、芝浦工業大の事例は具体的な参照点となる。

ニュースの詳細

数値:

  • 2026 年度学部入学者 2,045 人のうち女子 629 人 = 30.8%
  • 全国工学系学科の女子学生割合 17.9% を 12.9 ポイント上回る
  • 学部全体 (1〜4 年) の女子学生比率 26.5%
  • 2026 年度「理工系女子特別入学者選抜」入学者 195 人

施策の経緯:

  • 2018 年度: 工学部の機械・電気系 4 学科で「公募制推薦入学者選抜 (女子)」開始
  • 2022 年度: 工学部 9 学科に拡大
  • 2023 年度: 全学部・学科・課程・コース (工学部先進国際課程を除く) に拡大
  • 現在: 「理工系女子特別入学者選抜」として実施
  • 2022 年度〜: 入学者選抜の成績優秀な女子入学者 100 人以上に入学金相当額の奨学金給付

女子校との高大連携:

  • 昭和女子大学附属昭和高校 (2022 年 12 月)
  • 山脇学園高校 (2022 年 3 月)
  • 実践女子学園中学校高等学校 (2023 年 12 月)
  • 2026 年 3 月に新たに 6 校と協定締結
  • 累計予定締結校数 15 校程度

世界比較: マサチューセッツ工科大学・カリフォルニア工科大学では女子学生がほぼ半数。芝浦工大の最終目標は工学分野女子学生割合 50%。

キーワード解説

第 6 次男女共同参画基本計画 とは、内閣府男女共同参画局が令和 8 年 (2026 年) 3 月に策定した日本政府の男女共同参画施策の基本方針。教育・労働・政治参加・健康・暴力対策など多領域にわたる目標を設定し、「女子学生・生徒の理工系分野の選択促進」を重要テーマに位置付けた。

STEM 教育 (Science, Technology, Engineering, Mathematics) とは、科学・技術・工学・数学の教育分野の総称。米国を中心に経済競争力の源泉として政策的に振興され、女子の参画拡大 (Girls in STEM) も世界的な政策テーマとなっている。日本では「理工系女子」「リケジョ」と呼ばれる。

公募制推薦入学者選抜 (女子) とは、性別を出願要件の一つとする推薦選抜枠。アファーマティブアクション (積極的差別是正措置) の一形態として、理工系大学で女子限定枠を設ける動きが日本でも広がっている。芝浦工業大学のほか、東京工業大学 (東京科学大学)、京都大学などが導入。

高大連携 (High school - University collaboration) とは、高校と大学が連携して、生徒の進路選択支援・大学レベルの学習体験提供を行う制度。理工系領域では、研究室訪問・サマースクール・出張講座などが代表的なフォーマット。芝浦工大は女子校に対象を絞った高大連携を制度化した。

source: Univ-Journal Online , 芝浦工業大学プレスリリース