何が変わったか
これまで日本とインドの量子技術分野での協力は、研究機関単位の MOU や個別共同研究はあったものの、政府間で公式に枠組み化された協力文書は存在しなかった。
小野田紀美経済安全保障相は 12 日の記者会見で、インドのジテンドラ・シン科学技術相と量子技術の協力に関する文書を締結したと発表した。「共同研究などが一層活発化し、日印間の量子分野の協力が着実に具体化していくことを期待する」と述べた。
社会にどんな影響があるか
主たる影響として、経済安保の文脈下で「米国一極依存」のリスクを分散する科学技術パートナー網の構築が日本の政策軸に乗ったことが明確に示された。中国に対しては経済安全保障で距離を取りつつ、米国に依存しすぎない量子サプライチェーンを構築するため、インドの巨大な数理人材と日本の量子デバイス技術を組み合わせる戦略が想定される。
副作用として、量子技術は輸出管理規制の対象であり、文書締結によって両国間での研究情報のフローが活発化するほど、第三国 (特に中国) への技術流出リスク管理の制度設計が必要になる。
ニュースの詳細
日経記事は会員限定で詳細は確認できないが、文書名・調印日時・対象とする量子分野 (量子コンピューティング・量子通信・量子センシング等の区分) などの具体は限定的。日本政府は「量子未来社会ビジョン」(2022 年策定) で 2030 年までに国内量子技術利用者 1000 万人を目標としており、本協力文書はその文脈下の国際連携施策の一環と位置づけられる。インド側は IIT 系の数理・物理人材プールを背景に、近年 National Quantum Mission (2023 年承認、約 8 億ドル予算) を進めている。